The Institute of SC Trend

何がリサイクル・リユース業種を駆逐したのか?

“スマホでかんたんフリマアプリ”をキャッチフレーズとする「メルカリ」(株式会社メルカリ、東京都港区)が注目されている。メルカリは個人間で品物の売買が行える、いわゆるCtoC領域のサービスだ。2013年7月のサービス開始から4年を経た17年6月、同社は、日米合計でアプリが7500万ダウンロードを超えたことを発表している。1日の出品数もすでに100万品を超えているという。今回のトレンドレポートではリサイクル・リユース業種に着目し、こうした動きがSC GATE上のリサイクル中業種にどのように影響しているかを見てみたい。なお、SC GATE上では中業種の呼称として「リサイクル」が用いられているが、廃棄物のリサイクルとの混同を避けるため、本稿ではSC GATE上での呼称以外は「リユース」と表現する。

 

【成長を続けるリユース市場】

リユースの市場規模は順調に伸びているようだ。リサイクル通信(株式会社リフォーム産業新聞社、東京都中央区)の推計によると、2015年のリユース市場規模は1.6兆円、前年比3.5%増で、リーマンショックの影響があった09年以降6年連続で拡大している。この背景には09年にやましたひでこ氏が提唱した「断・捨・離」という概念がある。10年の流行語大賞にノミネートされ、リユース市場の成長に貢献した。同時に、多くの日本人が抱いていた、中古品への忌避感が薄れ、中古品と新品を組み合せる生活スタイルが広がってきたことも、市場が伸びた原因だと考えられる。

 

【大型商業施設のほぼ半数に出店するリユースショップ】

SC GATE上ではこうしたリユースに関連するショップは大業種:サービス、中業種:リサイクルに分類されており、リサイクル中業種の中は「衣料品」「ジュエリー・時計・バック・インポート衣料」「CD・DVD・本・玩具全般」「総合リサイクルショップ・質店・買取専門店」などいくつかの小業種に分類されている。

小業種別に出店SC数を見ると、出店SC数が最も多い小業種は「総合リサイクルショップ・質店・買取専門店」、続いて「ジュエリー・時計・バック・インポート衣料」「衣料品」となった。(図1)

リサイクル中業種が出店しているSC数をSCタイプ別に見ると、駅周辺・市街地の施設では大型のSC、郊外の施設では中型以上のSCでの出店傾向が強く、いずれも半数のSCにはリサイクル中業種のショップが出店している。駅ビルや小型の施設での出店は少ない。(図2)

 

【リユースショップの退店が出店を上回る状態に】

ここまで、リサイクル中業種の最新の出店状況を見てきたが、ここで、リサイクル中業種の出店・退店に着目してみよう。図4は2016年8月から1年間のリサイクル中業種の出退店を見たものだ。リサイクル中業種全体では、この1年間で46店舗減少し、その結果16年7月末時点での店舗数1220店が17年7月末時点で1174店となり、その増減率はマイナス3.8%であった。

小業種別では、増減率では「アンティーク家具、アンティーク玩具」と「自動車・バイク・自転車」「家電・パソコン・携帯電話」がプラス・マイナスとも10%以上の増減率となったが、もともとの店舗数が少ないことから差引増減数でみると大きな増減ではないといえる。一方、差引増減数で見ると、大きく店舗数を増やした小業種は見当たらず、「ジュエリー・時計・バック・インポート衣料」がマイナス32店舗、「総合リサイクルショップ・質店・買取専門店」がマイナス19店舗と際立っている。(図3)

最後に、リサイクル中業種全体と、小業種別で減少店舗数が大きかった「ジュエリー・時計・バック・インポート衣料」「総合リサイクルショップ・質店・買取専門店」について12ヶ月移動平均を使って15年1月からの出店数と退店数を月別時系列で見てみよう。ここで12ヶ月移動平均を使ったのは、SCには開業やリニューアルの多い月や少ない月があり、出店数・退店数にもそれが影響するからだ。

SC GATEでは、未登録だった既存SCと新規開業SCが登録されていくため基本的に出店数も退店数も増加傾向だ。業種そのものが大きく減少しない限り出店数が上回り続ける。ところが、リサイクル中業種全体では16年2月頃から出店数の増加傾向が弱まり始め、16年夏ころには出店数よりも退店数が多くなった。その後出店数が頭打ちになることで出店数と退店数の差が大きくなっていたが、この退店数の増加もピークは過ぎたようだ。(図4)

また、図5・図6は減少店舗数が多かった「ジュエリー・時計・バック・インポート衣料」と「総合リサイクルショップ・質店・買取専門店」の2つの小業種の出店数と退店数の12ヶ月移動平均の推移だ。「ジュエリー・時計・バック・インポート衣料」ではこの15年8月頃までは出店数と退店数が拮抗していたが、その後出店数の伸びが弱まったことから、出店数と退店数の差が拡大している。

「総合リサイクルショップ・質店・買取専門店」の場合は、15年秋までは退店数が出店数を上回っていたが、その後逆転し増加傾向に転じた。しかし、その後16年4月頃から退店数が増え始め、2016年8月頃には再び退店数が上回るようになり、出店数の急な落ち込みもあって出店数と退店数の差が大きく開くことになったが、最近では退店数も減少するようになりその差は小さくなっている。

【リユースショップ減少の背景】

このようにSC GATE上のリサイクル中業種の出退店傾向を見ていると、冒頭のメルカリなどCtoC領域の動きが業種の勢いに影響していると解釈できそうだが、もう少し詳しく調べると決してそれだけが原因ではないようだ。

環境省の「使用済製品等のリユース促進事業研究会」の平成27年度(2015年度)報告書によると、自動車、バイクを除く品目でのリユース市場規模の推計では、フリマアプリやインターネットオークションなどネットを利用した個人間の取引が49%とほぼ半数を占めている。しかも、店頭を経ないインターネットショッピングサイトでの購入も17.5%あり、最終的にリユースショップの店頭での購入は31.3%に過ぎないという結果が報告されている。

また、同報告書では本稿冒頭のメルカリを代表とするフリマアプリでの購入は1.9%と報告されていることから、「メルカリが」というよりは、メルカリも含むフリマアプリやインターネットオークションなど個人間の直接取引の成長に加え、リアル店舗を前提としない宅配買取サービスの定着や買取商品のネットでの販売など、市場規模には表れないリユース業界の大きな流通構造変化が、商業施設におけるリユースショップの出退店に影響していると考えられる。

 

※本稿はSC GATEの2017年9月更新データを用いて作成しています
SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

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