SCトレンド研究所

ロジカルシンキング⑨
「実効の上がる案に発展させる!」

 

先回、比較評価表を作成しましたが、これを実際に使いこなすために、次の3つの点に注意してください。

 

①効果について極力定量的に評価するよう心掛ける

何割程度真因を解消することが期待できるか 関係者の英知と経験を総動員して評価する。

ロジカルシンキングは極力、勘と経験を排除するものですが、この局面だけは例外です。  
これから行う改善策の効果を測るには、その業務に直接かかわっている経験豊富な人の感覚を大事にすることも必要です。   
どの程度真因を解消するのに役立つものか極力、定量的に推測します。



② × がついたものはあきらめる

いくら大きな効果が期待できても、×がついたものは実行不可能 。

例えば対策案3のように期限に全く間に合わないものは、ビジネスの世界では使うわけにはいきません。
致命的な問題があるものは、その問題を解消しない限り役に立たないのです。



③対策案を組み合わせる

プライオリティが最も高い対策案を採用して真因が解消できるのなら良いが、そうでない場合は他の対策案も組み合わせて実行する。
 
いくつ組み合わせればどこまで真因が解消されるか、期待値を想定することが重要です。
そのためにも①のように、期待される効果を定量的に把握しなければなりません。
それぞれの期待効果が把握できていれば下記のようにパレート図を作成して真因をどこまで除去できるか見える化することが可能です。



問題解決手法において、このパレート図は最も理解されやすく、意識を共有し、関係者のモチベーションを上げるのに役立ちますので、可能な限り作成するよう心掛けてください。

パレート図は、各対策の個別の効果を棒グラフで、対策を追加した時の累積効果を折れ線で表現するグラフです。

例えば、真因を70%まで除去すれば問題が解決すると考えられる場合、左のパレート図1では対策1~3を実施すれば赤線の70%ラインまで到達するので、問題が解決するということを表現しています。

逆に、右のパレート図2では対策案をすべて実施しても、70%ラインまで到達せず、満足のいくレベルまで真因を解消することができないということを表現しています。
こうした場合は、残念ですが、もう一度この連載の7に立ち戻ってアイデア出しからやり直しましょう。

 

繰り返しになりますが、課題をロジカルに解決するためには妥協は禁物、「三歩進んで二歩下がる」着実な歩みを肝に銘じねばなりません。

 

魚谷昌哉
米国国際ショッピングセンター協会(ICSC) 公認SC管理士

京都大学経済学部卒業後トヨタ自動車(株)を経て三井不動産(株)へ転職。
長年商業施設の開発、運営に携わる。
2012年に独立して(株)SCマーケティング総合研究所を設立。
「マーケテイングの革新と人づくり」をモットーにSC業界の人材育成に注力中。
近年は厚生労働省の人材育成助成金に適合した研修プログラムの開発やロジカルシンキング研修に取り組んでいる。

株式会社SCマーケティング総合研究所
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