SCトレンド研究所

ロジカルシンキング⑩
「目標のないPDCAは存在しない」

真因を解消する対策の組み合わせが決まったら、いよいよ「実行」ですが、その前に、目標を設定することを忘れてはいけません。

繰り返しになりますが、PDCAは目標と実績を比較し、その差の要因を明らかにする「C=チエック」のステップからスタートします。

ですから、目標を設定していないとPDCAを回して対策の精度を上げようと思っていても、スタートすることさえできないのです。

目標設定に関しては「Smartの法則」(ジョージ・T・ドラン)が役に立ちますので紹介しておきます。

Smartを構成する要素は、幾つか派生したものもありますが、オリジナルでは

Specific(具体的な)
Measurable(測定可能な)
Assignable(誰がやるのか割り当て可能な)
Realistic(現実的な)
Time-related(期限が明確な)

の5つです。

この5つの要素を念頭に置いて考えると実効の上がる目標設定ができますので参考にしてください。

特に最後のTime-relatedは重要ですので補足しておきます。

対策を実行した時に「いきなり満点の結果が出る」と考えるのは楽観的過ぎます。 
「PDCAをまわすことで当初のプランに変更を加え、改善していくことで満点の結果に到達する」と想定する方が現実的です。

このため、ここで設定すべき期限は当初から想定している期限とは別にPDCAを回して改善を織り込むことができるだけの時間的余裕を考慮したもう一つの期限を設定しなければいけません。

最終的な期限の手前に、もう一つPDCA用の期限を設定することがしっかりとPDCAを回すことにつながるのです。

成果についても最終的な目標レベルだけではなく、その手前のチエック時点で達成しておくべき水準も目標として設定することになります。

また、KPI KGIの2段階で設定することも重要です。

今やKPIの目標を設定することは広く行われていますが、それだけでは不十分です。しっかりと課題解決を行うにはKGIも含めて2段階の目標を設定することが必要です。

次回 この点について詳しく説明したいと思います。

 

魚谷昌哉
米国国際ショッピングセンター協会(ICSC) 公認SC管理士

京都大学経済学部卒業後トヨタ自動車(株)を経て三井不動産(株)へ転職。
長年商業施設の開発、運営に携わる。
2012年に独立して(株)SCマーケティング総合研究所を設立。
「マーケテイングの革新と人づくり」をモットーにSC業界の人材育成に注力中。
近年は厚生労働省の人材育成助成金に適合した研修プログラムの開発やロジカルシン キング研修に取り組んでいる。

株式会社SCマーケティング総合研究所
https://www.sc-marketing.jp/
 uotani-scmk@pcsu.jp