SCトレンド研究所

ショッピングセンター数は増え続けているものの増加率は鈍化 - 【半期速報Ⅰ.2018年9月末時点のSC概況】

2018年4月~9月のショッピングセンターの動向を、半期速報として本報告を皮切りに3本の記事で報告します。

第1報は18年9月末時点のショッピングセンター全体の概況で、18年3月末のショッピングセンターの状況を報告した「ショッピングセンター 出店・退店動向レポート 2018」(レポートの詳細・ご購入はこちら)の本編Ⅰから、半期経過後のショッピングセンターの状況を速報として報告するものです。

対象ショッピングセンター全体の状況

ショッピングセンター数・総テナント数は増加しているものの昨年に比べ成長は70%減

図表1は2018年9月末時点のショッピングセンター数、総テナント数などを18年3月末と比較したものです。

18年9月末時点で集計対象(集計対象SC条件は本稿末に記載)となったショッピングセンター数は2,573SCとなりました。
SC GATEへの既存施設の追加登録、新規開業施設、終業施設などがあるため、厳密に比較することはできませんが、18年3月末からの半期で、SC数で13の増加、SC面積で9.0万㎡、総テナント数で654テナント増加しています。18年3月末を100とした指数では、SC数、総テナント数とも100.5となりました。

ただ、1年前の17年4月~9月はSC数の増加が39SCで、総テナント数の増加が2,312テナント(いずれも17年3月末を100とする指数で101.6)でしたから、増加したショッピングセンター数は昨年の33%で、増加したテナント数に至っては昨年の28%と大きく昨年を割り込んでいます。安定して数を増やしていたショッピングセンターの成長が鈍化し始めています。

なお、特に記載していない場合、本稿で比較対象としている18年3月末日の実績は「ショッピングセンター 出店・退店動向レポート 2018」(2018年9月3日、SCトレンド研究所編著、株式会社リゾーム発行、詳細はこちら)を、また、17年4月~9月の実績は「2017年度上期(4月~9月) Ⅰ.SC全体の概況(2017年9月末時点)」として公開した記事(記事はこちら)を引用しています。

SCタイプ別概況

増加する小型施設、超大型施設の増加はわずか、中型・大型施設は減少

対象となったショッピングセンターのSCタイプ別概況は図表2のとおりとなりました。

図表3はショッピングセンター数の18年3月末からの増減を、施設の規模に着目してSCタイプの並び順を変更してグラフ化したものです。

最も増加数が多かったのは小型施設_郊外で、小型施設_駅周辺・市街地が続き、小型施設が大きく数を増やしています。
中型施設や大型施設は立地別に増減はあるものの、いずれも総数では減少となりました。
超大型施設は、昨年の速報では20SCという大きな増加が報告されていましたが、この半期では1SCの増加にとどまっています。

業種別テナント数構成

続く「モノ消費」から「コト消費」へのシフト

対象ショッピングセンターに出店しているテナントの大業種別概況が図表4です。

なお、図表4で算出している業種出店SC比率とは、対象ショッピングセンターの中で当該業種のテナントがあるショッピングセンターの比率を算出したものとなっています。また、1SCあたり平均テナント数は、当該業種のテナントが出店しているショッピングセンターにおける当該業種のテナント数の平均値を算出したものです。

図表4-2は先に触れた業種出店SC比率の、18年3月末からの増減をグラフ化したものです。

スポーツ・ホビーで大きなマイナスの変化、GMSで大きなプラスの変化が見られますが、これらはSCタイプ別のところで触れた小型施設の増加が影響している可能性があります。
それら以外の業種では、ファッションや飲食は横ばい、ファッション雑貨や食品が低下、生活雑貨やインテリア・寝具家電が微増、サービスが増加という結果になりました。

業種別の総テナント数を18年3月末と比較したものが図表5と図表5-2です。

全業種の合計では654テナント増加していた総テナント数も、業種別に見ると明暗が分かれ、ファッション、ファッション雑貨でテナント数が減少し、飲食とサービスで大きくテナント数が増加したという結果になりました。いわゆる「モノ消費」から「コト消費」へのシフトが続いています。

SCタイプ別大業種テナント数構成

駅ビルやアウトレットの質の変化がみられる

SCタイプ別に18年9月末時点の大業種のテナント数構成比を算出したものが図表6です。

昨年の速報と同様、ファッション、食品、サービスといった業種では、同じ立地であれば規模に従って構成比が変動していくことが見て取れますが、生活雑貨や飲食といった業種ではそういった傾向は見られません。

図表7は、図表6のテナント数構成比の18年3月末からの増減を示したものです。

図表7で顕著な差が見られたのは駅ナカです。
食品の構成比が大きく低下し、飲食、生活雑貨、サービスといった業種の構成比が増加しており、駅ナカの役割が変化し始めていることが顕著です。

また、アウトレットもファッションが構成比を減らす一方で、生活雑貨や飲食が構成比を増やしており、質が徐々に変化し始めていることを伺わせます。

その他のSCタイプでは、多くのSCタイプでファッション、ファッション雑貨の構成比が減少し、飲食、サービスの構成比が増加しています。

半期速報の今後の予定

本記事は18年9月末時点のショッピングセンターの状況を、18年3月末時点や17年9月末時点との比較も交えながら半期の速報として報告したもので、今後、この半期に新規開業したショッピングセンターに関する速報、この半期にショッピングセンターに初出店したブランドに関する速報を、順次報告する予定となっています。

集計対象ショッピングセンター

  • 2018年9月末日までにSC GATEに登録されている
  • 2018年9月末日時点で営業している
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2017年10月~2018年9月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2018年10月末時点データを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

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