SCトレンド研究所では、2017年4月~18年3月の12ヶ月間を対象に、ショッピングセンターや、そこに出店しているテナントの状況や動きを「ショッピングセンター 出店・退店動向レポート 2018」として、発表する準備を進めています(このレポートは18年9月3日発刊となりました。レポートの紹介ページならびにご購入はこちら)。
本記事は、同レポートの速報として、18年3月末時点のショッピングセンターとそこに出店しているテナントの概況を、17年3月末時点のデータと比較して報告します。なお、17年3月末のデータは、特に記載がない場合「SC GATE レポート 2016」(株式会社リゾーム 2017年9月1日、詳細はこちら)を引用しています。
集計対象となったショッピングセンターの条件は記事末に記載しています。
本記事ではショッピングセンターをSCと略記している場合があります。
目次
18年3月末時点でのSC数は2,560SCで、17年3月末に比べ63SCの増加となりました。なお、この増加数の中には17年4月~18年3月に新規開業したSCが含まれますが、それら以外にSC GATEデータベースに追加登録された既存SCなども含まれていることに留意する必要があります。
一方、テナント数に着目すると、SC数が増加しているのに対し、18年3月末時点の総テナント数は138,579店で、17年3月末に比べ▲9,219店の減少となりました。
SC数の増加に対しテナント数が減少していることから、空区画が増加していると考えがちですが、いくつかのテナントをまとめて大きな面積のテナントを出店させるといったことも原因として考えられます。
17年3月末に比べ、18年3月末ではSC数が増加しているにもかかわらず、総テナント数が減少していることから、本記事では17年3月末からの増減に着目してデータを紹介していくこととします。
SCタイプ別のSC数では、小型駅ビル、小型施設_駅周辺・市街地、中型施設_駅周辺・市街地、小型施設_郊外、中型施設_郊外などでの増加と、大型施設_駅周辺・市街地、大型施設_郊外での減少が見られます。また、超大型施設もSC数を増加させています。
総テナント数では、超大型施設のみでテナント数が増加しているだけで、その他のSCタイプでは、駅ナカの横ばいを除き、テナント数が減少しています。
ショッピングセンターが所在する都道府県別に、18年3月末のSC数と総テナント数を、17年3月末からの増減で表現したものが図表4です。
SC数の増減では東京都の増加数が群を抜いています。全体では、東京都も含め23の都道府県でSC数が増加し、SC数が減少した都道府県は10都道府県となりました。総テナント数では、SC数で群を抜いていた東京都も総テナント数では減少を示しています。他の都道府県に着目しても、総テナント数が増加したのは4つの都道府県だけで、それら以外の都道府県では総テナント数が減少しています。特に大阪府、兵庫県、神奈川県、北海道、福岡県など、それぞれの地方の中核ともいえる都道府県で、総テナント数の減少が500店を超えるという結果になりました。
ショッピングセンターに出店するテナントの大業種別に、2018年3月末時点で、各大業種のテナントが出店しているSC数(以下、業種出店SC数と表記)と総テナント数を調べ、17年3月末との増減で表現したものが図表5です。
主要な業種の業種出店SC数では、スポーツ・ホビーとファッション雑貨で減少が見られるものの、生活雑貨、食品、飲食、サービスなど、他の主要な業種では業種出店SC数が増加しています。
一方、総テナント数では、12業種のうち総テナント数が増加したのでは2業種だけで、しかもその増加数は多いとは言えない結果となりました。減少した10業種の中では、ファッション、飲食での減少テナント数が多く、ファッション雑貨、スポーツ・ホビー、そして食品が、それらに続いています。
生活雑貨、食品、飲食、サービスといった業種では、業種出店SC数が増加しているにもかかわらず、総テナント数が減少していることから、それぞれの業種に対する期待と現実に乖離が生じている可能性が伺えます。
「ショッピングセンター 出店・退店動向レポート」はSC GATEのデータを用い、前年4月~翌年3月末の1年間を対象期間とし、SCにおけるテナントの出退店を報告するものです。2017年9月には名称は異なりますが、同じ企画で「SC GATEレポート2016」を株式会社リゾームが発表しています。「ショッピングセンター 出店・退店動向レポート 2018」は、現在、2018年9月の販売開始に向けて準備を進めています(このレポートは18年9月3日発刊となりました。レポートの紹介ページならびにご購入はこちら)。
本年のレポートは、昨年発表のものに新たな視点を加えた、以下の6つの視点で構成する予定となっています。
レポートは、概況をレポート形式でまとめた本編と、SCタイプ、業種区分(大業種、中業種)、SC所在都道府県などの軸を用いた単純集計とクロス集計した資料編で構成されています。
また、昨年のレポートにはなかった、チェーンブランド(SCに多数出店しているブランド)と非チェーンブランド、複数ブランドを運営する運営企業と単一ブランドを運営する企業といった区分での集計も試みています。
集計対象SC
|
【本稿はSC GATEの2018年4月末時点のデータを用いて作成しています】
SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください