2018年7月~9月期のファッション大業種のSC出退店ランキングを報告します。
この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
目次
18年7月~9月期のファッション大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。
出店ランキングの1位は、差引出店数17店の“AMERICAN HOLIC”となりました。同ブランドは、前四半期(18年4月~6月、記事はこちら)には差引出店数3店で8位に、また、前々四半期(18年1月~3月、記事はこちら)にも差引出店数20店で1位にランクインしており、強い出店傾向が続いています。ただ、このブランドを運営する株式会社ストライプインターナショナル(岡山県岡山市)は、この四半期の出店ランキングにもう1ブランドがランクインしていることに加え、退店ランキングにも同社が運営するブランドが2ブランドランクインしていることから、単に出店傾向が強いというよりは、ブランドの統廃合や出店ショッピングセンターの見直しなどを進めている可能性が伺えます。
2位には差引出店数7店で“field/dream”がランクインしています。このブランドは株式会社オンワード樫山(東京都中央区)がメンズとウィメンズのファッションブランドとしてスタートさせ、16年春夏シーズンを最後に休止したブランドとなっていました。18年5月に入り、同社はこのブランドをリブランディングし、18年秋から出店をスタートすることを発表しており、それがこのランキングに表れているものです。リブランディングされた同ブランドは、「THIRD PLACE」をショップコンセプトに、コミュニケーションスペースも設けた居心地のいい空間を提案していくとしています。また、これを機にターゲットを20〜40代に改めるとともに、プライスもおさえることで若い層の獲得を目指すとしています。
一方、差引退店数の上位ブランドをリストアップした結果は図表2のとおりとなりました。
ランキングの1位には“Laura Ashley”が差引退店数33店でランクインしました。これは、前四半期で報告(記事はこちら)した、イオングループ傘下企業の戦略的統廃合により、ローラ アシュレイ ジャパン株式会社(東京都渋谷区)が全店舗を閉店させたことによるものです。
2位には“San-ai Resort”が差引退店数15店でランクインしています。このブランドは、水着を中心に取り扱うため、シーズンオフに向けてランクインしたものと考えられます。
3位には“goa THE STORE“が差引退店数13店でランクインしました。これは、株式会社TSIホールディングス(東京都港区)のグループ会社で、このブランドを運営する株式会社WAVE Internationalが、18年11月末日で解散となることを受け、退店ランキング8位の“goa(株式会社WAVE International)”(差引退店数6店)とともランクインしたものです。
ランクインしたその他のブランドを見ると、この四半期のランキングには、株式会社ワールド(兵庫県神戸市)、株式会社アダストリア(東京都渋谷区)、株式会社ファイブフォックス(東京都渋谷区)、また、先に触れた株式会社ストライプインターナショナル(岡山県岡山市)、株式会社TSIホールディングス(東京都港区)といった、いわゆるアパレル小売り業界のナショナルブランドを運営してきた企業が運営するブランドが散見されています。アパレルの市場が縮小していると指摘される中、出店ランキングでも触れていますが、各社がブランドの統廃合や、出店するショッピングセンターや出店立地の見直しなどを進めている可能性が伺え、まさに、ナショナルブランド運営企業での攻めと守りが見られる四半期となりました。
集計対象ショッピングセンター
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【本稿はSC GATEの2018年9月末時点データを用いて作成しています】
SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください
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