SCトレンド研究所

ショッピングセンターのアミューズメント店舗の減少は続くのか 【2018年1月~3月期 四半期SC出退店D.I.】

 

2018年1月~3月の四半期SC出退店D.I.値(四半期SC出退店D.I.の説明は本記事後半をご覧ください)を、業種別、SCタイプ別、SC所在地方別に算出した結果を報告します。なお、四半期SC出退店D.I.はSC GATEのデータから算出されており、このデータは毎月、新規開業以外のショッピングセンターも含め、新たな施設が追加されていくことから、このレポートに記載された過去の四半期のD.I.値と過去のレポートのD.I.値は一致しない場合があります。

2018年1月~3月 業種別四半期SC出退店D.I.

多くの業種で店舗数の増加の勢いが弱まる / アミューズメントもプラスからマイナスに

ショッピングセンターに出店しているテナントの大業種別に、2018年1月~3月期を含め5四半期分の四半期SC出退店D.I.を算出した結果が図表1です。

前四半期に引き続き、インテリア・寝具・家電_大業種(以下、大業種名は“_大業種”を付さずに表記)のD.I.が最も大きく、店舗数の増加が続いています。ただ、その値は2四半期連続して減少しており、増加の勢いは弱まっています。
食品、サービスといった大業種でもD.I.がプラスになっていますが、その値は小さく、大きな店舗増ではありません。
サービスは、この2四半期連続でD.I.がプラスではあるものの、その値は小さく、一時見られたサービスへのシフトも勢いが弱まっているといえます。
食品は、5四半期にわたって微増と微減を繰り返しており、おおむね落ち着いた動きとなっています。

一方、マイナス側ではファッション、ファッション雑貨、生活雑貨、スポーツ・ホビー、アミューズメントといった大業種で店舗数の減少が見られています。
ファッションは、前四半期の報告で店舗数の減少に歯止めがかかり始めた可能性があると指摘しましたが、この四半期の算出では、総店舗数が少ないことが原因でD.I.の振れ幅が大きくなる百貨店を除くと、D.I.のマイナスが最も大きく、歯止めがかかったとは言えません。
また、アミューズメントは、前四半期までプラスのD.I.が4四半期続いていましたが、当四半期ではマイナスに転じています。
生活雑貨とスポーツ・ホビーは、マイナスのD.I.が2四半期続いており、今後の動きを注視しておく必要があります。

前四半期に、特定ブランドでの大量退店の影響からD.I.がマイナスとなっていたスポーツ・ホビーは、この四半期もD.I.そのものはマイナスのままですが、前四半期のような特定ブランドでの大量退店といったことは見られていません。

 

2018年1月~3月 SCタイプ別四半期SC出退店D.I.

前四半期に見られたGMS系施設でのブランド数減少は終息

SC GATEが定義しているSCタイプ別に、同期間の四半期SC出退店D.I.を算出した結果は、図表2のようになりました。

D.I.がプラスとなったSCタイプは、中型駅ビル、大型駅ビル、大型施設_郊外、超大型施設の4タイプで、残る10タイプはD.I.がマイナスとなりました。

施設の立地別にみると、駅ビルでは、小型施設のD.I.はマイナスですが、中型、大型施設で大きなプラスとなっており、全体としてのテナント数は増加しています。特に大型駅ビルは3四半期連続してD.I.がプラスで、活発にテナントを入れ替えている様子がうかがえます。
一方、駅周辺・市街地では、小型、中型、大型、いずれの規模の場合もD.I.がマイナスで、全体としてテナント数を減らしています。
また、郊外の場合は、大型施設はプラスになっているものの、小型、中型施設ではD.I.がマイナスのため全体としてテナント数が減っています。

施設の規模に着目すると、小型施設は、駅ビル、駅周辺・市街地、郊外のすべての立地でD.I.がマイナスとなりました。
中型施設では、駅ビルではD.I.がプラスですが、駅周辺・市街地、郊外ではマイナスになりました。
大型施設は、駅周辺・市街地のみD.I.がマイナスで、駅ビル、郊外ではプラスとなりました。
超大型施設もD.I.がプラスですから、全体としては、規模が大きい施設は活発にテナントを入れ替えられていますが、小型、中型施設では、その動きは鈍いといえます。

時系列でみると、中型施設_郊外は5四半期連続してD.I.がマイナス、大型施設_郊外は5四半期連続してD.I.がプラスで、好対照な結果となっています。こうした好対照な結果は、広めの商圏を期待して開業した郊外の中型施設が、広域集客力に優れた大型施設が郊外で増加していることの影響を受けていると考えられます。

なお、前四半期のレポートで指摘した、駅周辺・市街地、郊外の中型施設での店舗数の減少の背景にあった、総合スーパー(GMS)を核とした施設(GMS系施設)での店舗数減は、この四半期ではおおむね終息しています。

 

2018年1月~3月 地方別四半期SC出退店D.I.

店舗数が増えた地方は関東地方のみ / その他の各地方では店舗数が減少

ショッピングセンターの所在する地方別に、同期間の四半期SC出退店D.I.を算出した結果は、図表3のようになりました。

直近の18年1月~3月期のD.I.を見ると、D.I.がプラスとなったのは関東地方のみで、他の7地方はすべてD.I.がマイナスとなっています。

D.I.がマイナスとなった7つの地方のうち、北海道、中国、四国、九州・沖縄の4地方では3四半期以上、また、東北、近畿の2地方は2四半期、それぞれ連続したマイナスで、テナント数の減少が続いています。

 

四半期SC出退店D.I.とは

四半期SC出退店D.I.は、SCトレンド研究所が考案した、SCにおけるテナントの増減を表す指数です(四半期SC出退店D.I.の定義はこちらをご参照ください)。「D.I.」(ディー・アイ)は、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、景気動向判断指標の一つとして用いられているものです。

四半期SC出退店D.I.がプラスの場合は出店数が退店数よりも多く、マイナスの場合は出店数よりも退店数が多いことを表します。また、値がゼロから離れるほど出店数と退店数のバランスが、どちらか一方に偏っていることになります。

なお、四半期SC出退店D.I.はショッピングセンター(SC)での出退店のみを見ており、多くのショップブランドでは路面店も含めSC以外での出退店があり、出店戦略の変更などに伴う特定のショップブランドの出退店がD.I.値に影響することがあることから、業種別SC出退店D.I.がそのまま業種の勢いなどを表すものではありません。同様に、ショッピングセンターの新規開業や大規模リニューアルなどに伴う出退店もD.I.値に影響しますので、SCタイプ別、SC所在地方別の場合も、SC出退店D.I.値がそのままその区分の勢いなどを表すものではないことに留意する必要があります。

集計対象SC

  • 2018年3月末日までにSC GATEに登録されている
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2016年3月~2018年3月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2018年4月末時点のデータを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください