ショッピングセンターでの出店と退店のバランスを示す指標、四半期SC出退店D.I.値(四半期SC出退店D.I.の説明は本記事後半をご覧ください)を、2018年10月~12月を対象期間として、業種別、SCタイプ別、ショッピングセンターの所在地方別に算出した結果を報告します。
なお、四半期SC出退店D.I.はSC GATEのデータから算出されており、このデータは毎月、新規開業以外のショッピングセンターも含め、新たな施設が追加されていくことから、D.I.値を時系列でみる際には、厳密な連続性はないことに留意する必要があります。
また、前四半期の報告(記事はこちら)から、D.I.値の算出に用いていた対象ショッピングセンターの定義を「対象四半期の期初までにSC GATEに登録され、かつ、対象四半期の期末に営業しているショッピングセンター」を対象とするように変更しています。
目次
ショッピングセンターに出店しているテナントの大業種別に、18年10月~12月期を含め5四半期分の四半期SC出退店D.I.を算出した結果が図表1です。
この四半期では、全11業種のうち、D.I.値がマイナスとなったのは、ファッション雑貨(本記事では、大業種名に_大業種を付加せずに記載します)だけで、その他の10業種ではプラスの結果となりました。
ファッションや生活雑貨、スポーツ・ホビーでは前報(記事はこちら)にあるとおり、5四半期連続してマイナスのD.I.値となっていましたが、当四半期はプラスのD.I.値となり、長いトンネルから抜け出した感があります。ただ、当四半期は年末直前の四半期であることから、年末に向けてリニューアルを完了させるショッピングセンターも多く、本当にトンネルを抜け出たかの判断は、今後にゆだねることとします。
前四半期でも出店傾向の継続を指摘していた、インテリア・寝具・家電、サービス、アミューズメントは、当四半期もD.I.値がプラスで、前報(記事はこちら)も含め6四半期連続して出店傾向が続いています。
SC GATEが定義しているSCタイプ別に、同期間の四半期SC出退店D.I.を算出した結果は、図表2のようになりました。
この四半期では、全体で14のSCタイプのうち、D.I.値がマイナスとなったSCタイプは、小型駅ビルと小型施設_郊外の2タイプのみとなりました。前四半期の報告(記事はこちら)では、D.I.値がプラスになったSCタイプが2タイプのみであったことを考えると、大きく様相が変化したと言えます。
前四半期の報告で、5四半期連続してマイナスのD.I.値を示していた駅周辺・市街地の3つのSCタイプでも、当四半期はすべてプラスのD.I.値を示しています。
一方で、小型施設_郊外については、前報で報告した17年7月~9月期のプラスを最後に5四半期連続したマイナスのD.I.値となっています。
ショッピングセンターの所在する地方別に、同期間の四半期SC出退店D.I.を算出した結果は、図表3のようになりました。
この四半期のD.I.値では、中部地方と四国地方の2つの地方でマイナスのD.I.値となりましたが、残る6地方はいずれもプラスのD.I.値となりました。
前四半期の報告(記事はこちら)では、D.I.値がプラスとなった地方が1地方、マイナスとなった地方が7地方でしたから、SCタイプ別の状況と同様、様相が一転しています。
特に、D.I.値がプラスとなった6地方の中で、中国地方は当四半期も含め18年1月~3月期以降、4四半期連続してプラスのD.I.値となっています。
四半期SC出退店D.I.は、SCトレンド研究所が考案した、ショッピングセンターにおけるテナントの増減を表す指数です(四半期SC出退店D.I.の定義はこちらをご参照ください)。「D.I.」(ディー・アイ)は、Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、景気動向判断指標の一つとして用いられているものです。
四半期SC出退店D.I.がプラスの場合は出店数が退店数よりも多く、マイナスの場合は出店数よりも退店数が多いことを表します。また、値がゼロから離れるほど出店数と退店数のバランスが、どちらか一方に偏っていることになります。
なお、四半期SC出退店D.I.はショッピングセンターでの出退店のみを見ており、多くのショップブランドでは路面店も含めショッピングセンター以外での出退店があり、出店戦略の変更などに伴う特定のショップブランドの出退店がD.I.値に影響することがあることから、業種別SC出退店D.I.がそのまま業種の勢いなどを表すものではありません。
同様に、ショッピングセンターの大規模リニューアルなどに伴う出退店もD.I.値に影響しますので、SCタイプ別、ショッピングセンターの所在地方別の場合も、SC出退店D.I.値がそのままその区分の勢いなどを表すものではないことに留意する必要があります。
図表1、図表2、図表3の集計対象SC
※マークを付した条件が、前報(記事はこちら)の対象SC変更で修正または付加された条件です |
【本稿はSC GATEの2019年1月末時点データを用いて作成しています】
SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください
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