2018年7月~9月期のファッション雑貨大業種のSC出退店ランキングを報告します。
この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
目次
18年7月~9月期のファッション雑貨大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。
出店ランキングの1位は、差引出店数5店で“Cath Kidston”と“kate spade NEW YORK”の2ブランドがランクインしました。いずれもバッグなどを扱う海外発のブランドとなっています。
3位以降に目を移すと、この四半期の出店ランキングでは化粧品を扱うブランドが8ブランドランクインしています。これら8ブランドの中で、特に11位にランクインした“フルーツギャザリング”は、ブランド誕生の背景という点で注目しておく必要があります。
“フルーツギャザリング”を運営するのはエフ・ジー・ジェイ株式会社(東京都港区)ですが、同ブランドのスタートは、エイチ・ツー・オー リテイリング株式会社(大阪市北区)の子会社、株式会社阪急阪神百貨店(大阪市北区)による、13年2月のエキュート品川での出店となっています。百貨店の化粧品売場が得意とする高級ブランドに、日常使いの商品を加えることで品揃えの幅を広げるとともに、また、セミセルフ販売を採用することで、働く女性などに使いやすい売り場を実現することで、客層の幅を広げようとしたものです。
百貨店がスタートさせた化粧品のブランドには、“フルーツギャザリング”以外にも、“ISETAN MiRROR”(伊勢丹)、“TAKASHIMAYA COSMETICS million doors”(高島屋)などがあります。こうした、百貨店がその得意な領域を専門店化して、ショッピングセンターに出店させるという方法は、18年9月3日に発刊した「ショッピングセンター 出店・退店動向レポート 2018」(レポートの紹介はこちら)の本編でも、前年との比較で他の業種も含め急増していると報告されています。
一方、差引退店数の上位ブランドをリストアップした結果は図表2のとおりとなりました。
ランキングの1位には靴下小業種の“Pinky Bell”が差引退店数21店でランクインしました。また、2位も同じ靴下小業種の“リセコレクション”(差引退店数11店)がランクインしています。これら2ブランドは辻商株式会社(奈良県磯城郡田原本町)が運営しているブランドでしたが、同社は18年8月に大阪地裁へ破産を申請したことから、それに伴う退店となります。同社の持ち株会社の株式会社TSBホールディングス(奈良県磯城郡田原本町)、卸売事業を手掛ける株式会社スタジオ・ポアック(大阪市天王寺区)も、それぞれ破産、民事再生の申請を行っています。
退店ランキングの3位は、前四半期の報告(記事はこちら)で1位(差引退店数9店)だったアクセサリー小業種の“claire’s”(差引退店数10店)となりました。同ブランドはイオン株式会社(千葉県千葉市)の子会社、クレアーズ日本株式会社(東京都中央区)が、米国クレアーズ社(Claire’s Stores Inc.)とのライセンス契約に基づいて運営しているものです。18年3月頃に、その米国クレアーズ社が連邦破産法適用を申請したとの報道がありましたが、クレアーズ日本は「米国クレアーズ社と資本関係がない独立した法人であり、通常通りの営業、事業をおこなう」と発表しています。
4位は差引退店数7店の“STONE MARKET”と“LAURA ASHLEY GIFTS & ACCESSORIES”となりました。
“STONE MARKET”は、天然石アクセサリー販売と名物社長のセレブ生活で一世を風靡していましたが、近年は業績低迷からリストラを余儀なくされているとの報道もあり、店舗整理が行われている可能性があります。
また、“LAURA ASHLEY GIFTS & ACCESSORIES”は、ファッション業種での報告(記事はこちら)にもある、イオングループ傘下企業の戦略的統廃合により、ローラ アシュレイ ジャパン株式会社(東京都渋谷区)の全店舗閉店によるものです。
集計対象ショッピングセンター
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【本稿はSC GATEの2018年9月末時点データを用いて作成しています】
SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください
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