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RIZAPグループ入りしたブランドが出店ランキングの1位に - 【ファッション大業種四半期SC出退店ランキング】

RIZAPグループ入りしたブランドが出店ランキングの1位に - 【ファッション大業種四半期SC出退店ランキング】

2019年1月~3月期のファッション大業種のSC出店ランキングを報告します。

この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店、もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

なお、当四半期から、ランキング表のデザインを変更しています。
また、今後に向けた試みの分析として、出店や退店がどういったショッピングセンターで生じているかといった視点での分析結果も用意しています。

ファッション大業種のSC出退店ランキング - 【2019年1月~3月期】

“AMERICAN HOLIC”、“BELLUNA”の出店も続く

2019年1月~3月期のファッション大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。

出店ランキングの1位は差引出店数8店で、“Rewde”と“AMERICAN HOLIC”の2つのブランドとなりました。

“AMERICAN HOLIC”は、前々四半期(18年7月~9月期)が1位、前四半期(18年10月~12月期)が3位でしたから、1四半期ぶりに1位に返り咲いたことになります。過去の出店ランキングでも上位に入ることが多く、積極的な出店が続いています。

“Rewde”は株式会社三鈴(東京都品川区)が運営するブランドとなっています。
同社は08年より株式会社ヨンドシーホールディングス(東京都品川区、4℃ホールディングス)の子会社として運営されていましたが、16年4月にプライベートジム「ライザップ」を運営する健康コーポレーション株式会社(現、RIZAPグループ株式会社、東京都新宿区)が株式を譲受し、ライザップグループ入りしていました。その背景には、ファッションのボリュームゾーンであるヤングエレガンス領域での商品展開が可能な株式会社三鈴の存在が、アパレル事業の強化を目指しているライザップグループに不可欠であったことが指摘されています。

今回のランキングでは、5位(差引出店数6店)から8位(差引出店数5店)に入った7つのブランドの中に、株式会社ワールド(兵庫県神戸市)の子会社が運営する“OPAQUE.CLIP”、“SHOO・LA・RUE”、“THE SHOP TK”、“grove”の4つのブランドが入っています。
同社は15年5月以降、ショッピングセンターに出店していた店舗の退店なども含む、大規模なリストラを実施し、ショッピングセンター業界で大きな騒ぎとなりました。しかしながら、同社はこのリストラにより業績をV字回復させ、05年から上場廃止していた株式を18年8月に再上場しています。また、同社はこのリストラと並行してECチャネルにも注力していますが、一方で実店舗のショールーム化は想定していないとのコメントも発表されていることから、ショッピングセンターでの今後の出店に注目しておく必要がありそうです。

また、5位(差引出店数6店)には株式会社グラニフ(東京都渋谷区)が運営する“graniph”も入っています。
“graniph”はメンズ・レディス・キッズのTシャツを主力商品とし、オリジナルなデザインや、アート・キャラクターなどとコラボした商品が支持されています。これまでは女性に偏りつつあった顧客層を修正するため、多様な客層の期待できる立地へシフトしつつ、今後も年間5店から10店の出店を進めることと報道されています。

なお、前四半期の出店ランキングで1位だった“西松屋”は当四半期はリストに入りませんでしたが、同じく前四半期の出店ランキングで1位だった“BELLUNA”は、当四半期も12位(差引出店数4店)で引き続き堅調に出店を進めている様子が伺えます。

図表1 ファッション_大業種の出店ランキング(差引出店数上位20ブランド)

退店ランキング(図表2)に視点を移すと、1位は差引退店数8店で、“Talbots”と“COMME CA ISM”の2つのブランドとなりました。

また、3位は差引退店数7店で、“JUAN”と“ELLE”の2つのブランドとなっています。
これらのうち“ELLE”は、イトキン株式会社(東京都渋谷区)が株式会社LAGARDÈRE ACTIVE ENTERPRISES JAPAN (ラガルデール アクティブ エンタープライズ ジャパン、東京都港区)と契約して運営していた「ELLE」事業を終了させたことによる退店となっています。

図表2 ファッション_大業種の退店ランキング(差引退店数上位20ブランド)

これまで、出店・退店ランキングでは、出店もしくは退店したブランド名のみを公開していましたが、今後の1つの方向性として、これらの出店や退店がどういったショッピングセンターで行われたのかということにも注目するようにしていくことを検討しています。

今回は試みの分析として、退店ランキング側で触れた4つのブランドに着目し、それらがどういったショッピングセンターで退店したかを見るために、これら4つのブランドの差引退店数をショッピングセンターを運営する企業別に見たものが図表3です。

退店ランキング上位の4つのブランドのうち、1位の“Talbots”はイオングループのタルボットジャパン株式会社(東京都中央区)が運営していますし、2位の“JUAN”を運営する株式会社モリエ(愛知県稲沢市)もユニーグループの1社として創業したということもあり、イオングループの中のGMS(General merchandise store、総合スーパー)系の企業やユニー、フジなど、類似したショッピングセンターでの退店といった傾向が伺えます。

なお、こうした出店や退店を、ショッピングセンター側の切り口での可視化することについては、今後も検討を進めていくように考えています。

図表3 退店ランキング上位4ブランドのPM企業別差引減少数

集計対象ショッピングセンター

  • 2019年3月末日までにSC GATEに登録されている
  • 2019年3月末日時点で営業している
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2017年4月~2019年3月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2019年4月末時点データを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

関連レポート

  • 前四半期のこの業種(ファッション)のランキングはこちら