SCトレンド研究所

カワイイだけじゃヤダ!-【ファッション雑貨大業種四半期SC出退店ランキング】

2019年1月~3月期のファッション雑貨大業種のSC出店ランキングを報告します。

この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店、もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

なお、当四半期から、ランキング表のデザインを変更しています。

ファッション雑貨大業種のSC出退店ランキング - 【2019年1月~3月期】

激安なのにカワイイ、手軽なのにカワイイを同時に叶えるブランドが上位に

2019年1月~3月期のファッション雑貨大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。

出店ランキングの1位は差引出店数6店で“atmos”、2位は差引出店数5店で“ACE BAGS&LUGGAGE”、“ETUDE HOUSE”、“LUPIS”、“bijou SOPHIA”の4ブランドが並びました。

株式会社テクストトレーディングカンパニーが運営するスニーカーセレクトショップ“atmos”は、前四半期に出退店の動きはありませんでしたが、今四半期は退店ランキング側でも2位に“sportslab by atmos”がランクインしています。
SC GATEの登録データによると、都市部の駅ビルにおいてブランドスイッチを行っていることがわかります。

2位の“ACE BAGS&LUGGAGE”のコンセプトは、「店舗の立地特性に応じて商品の編集を変える地域密着型のバッグセレクトショップ」です。
2017年9月に丸ビルに一号店をオープンしましたが、今春から首都圏、福岡、名古屋と出店を加速しています。デジタルサイネージを活用し、季節や時間帯、お客様の声を反映した商品提案を行うと報道されています。

2位の“LUPIS”は株式会社Queen(和歌山県海南市)が運営するブランドです。
同社のEコマースランキングを見ると、5月末の人気商品第1位がミックスデザインゴールドリング276円、第2位はサングラス399円。
中間の卸会社を通さずに工場で直接作ったアクセサリーを通信販売することで激安価格を実現したとされています。激安なのにカワイイところがティーンエイジャーに人気の秘訣と思われます。

6位の“Incoco”は、貼るだけマニキュアというシート状マニキュアのブランドです。
マニキュアを塗る手間や乾かす時間をなくそうという、ある意味「時短商品」です。ハサミが無くても手軽に、カワイイ指先を作れます。バリエーションが多く、TPOにあわせたマニキュアを貼れる点が、忙しくてもオシャレしたい女性の気分をとらえています。生活雑貨店や百貨店で取り扱いがありますが、長期ポップアップショップとしてSCにも登場し始めています。

小業種別の差引増減数をTop50ブランドで集計すると1位靴、2位アクセサリーですが、靴に関しては、スポーツファッション、外反母趾/幅広設計など、独自性とコンセプトを打ち出しているブランドが上位にあがっています。

なお、前四半期の出店ランキングで1位だった“ABC-MART”は、当四半期6位(差引出店数4店)で引き続き堅調に出店を進めている様子が伺えます。

図表1 ファッション雑貨_大業種の出店ランキング(差引出店数上位20ブランド)

退店ランキング(図表2)に視点を移すと、1位は差引退店数10店の、“AMOSTYLE by Triumph”となりました。前四半期の差引退店数は5店でしたので、退店ペースは加速しています。
また、4位は差引退店数4店で、“Samantha Vega”となっています。

“AMOSTYLE by Triumph”は、トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社(東京都渋谷区)が展開する大手下着メーカーですが、公開された売上高は2005年の520億円をピークに減少が続いており、SC GATEの登録では百貨店やイオンモールからの退店がみられます。
国内の女性下着市場にユニクロが参入したのが2008年“ブラトップ”、2016年の“ワイヤレスブラ”。2019年春夏製品では、カップ上部が波状にカットされた立体構造カップでフィット感が向上、今後さらに市場を食いつくす勢いです。
そこに2019年4月25日、ワコールが「働く女性のためのブラジャー型ウェアラブルiBRA(アイブラ)」の開発を発表しました。着脱式のトランスミッター(取得した生体情報をアプリに転送する送信器)により、就労女性のニーズを掘り起こし、健康管理に役立てていただこうというもの。
国内下着市場でワコール、ユニクロが、製品開発力による市場制覇争いにしのぎを削る中、トリンプ社は18年12月18日付で「19年に向け、18年よりブランドを刷新して新生『AMOSTYLE BY Triumph』をスタートさせる」ことを発表しました。
百貨店については、高価格帯の“VALISERE”などを打ち出し、丁寧な接客で高級感あるブランドイメージを訴求しようとしています。前四半期から続くランクインは、そうした戦略に沿った積極的退店だと考えられます。

“Samantha Vega”を運営する株式会社サマンサタバサジャパンリミテッドについては、不採算店舗の見直しにより店舗網を大幅に縮小してきましたが、最終損益は3期連続の赤字となり、2019年4月25日、創業者である寺田和正社長が退任、今後の立て直しに注目が集まっています。

図表2 ファッション雑貨_大業種の退店ランキング(差引出店数上位20ブランド)

集計対象ショッピングセンター

  • 2019年3月末日までにSC GATEに登録されている
  • 2019年3月末日時点で営業している
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2017年4月~2019年3月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2019年4月末時点データを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

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  • 前四半期のこの業種(ファッション雑貨)のランキングはこちら