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「SPA御三家」アイウェアブランドが出店ランキング上位に! - 【生活雑貨大業種四半期SC出退店ランキング】

「SPA御三家」アイウェアブランドが出店ランキング上位に! - 【生活雑貨大業種四半期SC出退店ランキング】

2019年1月~3月期の生活雑貨大業種のSC出店ランキングを報告します。

この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店、もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

なお、当四半期から、ランキング表のデザインを変更しています。

生活雑貨大業種のSC出退店ランキング - 【2019年1月~3月期】

競合ブランドの海外戦略と国内SC出店の差は?

2019年1月~3月期の生活雑貨大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。

出店ランキングの1位は差引出店数6店で、“eyecity”、“JINS”となりました。
3位以降に目を移すと、3位、8位、15位はいずれもコンタクト、眼鏡を扱うブランドとなりました。
具体的には、3位が“Zoff”(差引出店数5店)、8位が“OWNDAYS”(差引出店数4店)、15位が“中央コンタクト”、“meganeSUPER”、“OPTIQUE PARIS MIKI”(差引出店数2店)となっています。

このように上位10位内にアイウェア4ブランドが占め、ショッピングセンターにおけるアイウェアの位置づけが高まっていると言えます。
なお、“JINS”、“Zoff”の2ブランドの出店は、前四半期ランキングの5位(差引出店数4店)でした。

“JINS”店舗数は2018年8月末で510店舗(前期比13.5%増。海外、FC含む)、全社売上高は約548億円(前期比8.8%増)です。
2001年に製造小売業型眼鏡専門店の出店を開始し、2009年には、それまでの価格やサービスの常識を覆す「レンズの追加料金¥0」のビジネスモデルを導入。
2011年、視力補正を必要としない人もサポートする「機能性アイウエア」という新市場を創出、20年も経たぬ間に業界の景色を変えました。

5月23日からはアメリカ・ニューヨーク近代美術館(MoMA)にてポップアップストアの展開を始めました。
MoMAでは、メガネの似合い度をAIが自動判定する「ブレインミラー」を設置、すでにアメリカ西海岸で5店舗展開する同社が、高感度なお客様に先進的な購買体験を提案するとのことです。

8位の“OWNDAYS”は後発企業として、海外出店を先に加速させる戦略をとっていました。
代表の田中修治社長は、売上20億、負債14億、赤字2億の『絶対倒産する』と言われたメガネチェーン店を買収し再生させ、昨年「破天荒フェニックス」(幻冬舎出版)で話題を呼んでいます。
同社の採用ページによると、「現在、日本を含め10カ国に約220店舗を展開しているメガネのファストファッションブランドです。年間220万本以上のメガネを企画から製造、販売まで一貫して行うSPA方式を採用し、9年連続で増収増益を達成。現在も、毎月3~5店舗のペースで新店舗を世界中にオープンし事業拡大を続けています。2017年には海外店舗100店舗を達成!まだまだ出店のスピードは留まることなく展開していきます。2015年12月から約5年間で12カ国に進出。2019年はアジアのみならずインドにも出店し、今後中東圏への事業拡大も計画しております」とのことです。

将来的には、人口減少で縮小するとみられる日本の眼鏡使用人口ですが、“JINS”は「郊外ロードサイド型路面店の出店を加速し、書店やカフェと共同の店舗開発など市場規模の大きいシニア層向けの取り組みを強化中。」と報道されています。

SC GATEで3社のSCタイプを比べますと、“JINS”は大型郊外や超大型施設に多く、“Zoff”はパルコ、ルミネ、アトレなど都心のSCに多く出店しています。後発の“OWNDAYS”は、局地的に九州・沖縄では出店数トップで、先行2社を抜いています。
今後の国内における業界地図に注目です。

図表1 生活雑貨_大業種の出店ランキング(差引出店数上位20ブランド)

退店ランキング(図表2)に視点を移すと、1位は差引退店数6店で、“Can Do”となりました。
また、上位に書籍と従来型眼鏡チェーンが並んでいます。

“Can Do”を運営する株式会社キャンドゥは1993年12月設立、年商は707億円(2018年11月末)、店舗数1,012店舗(2019年4月末)、大創産業、セリアに続く業界第3位の企業です。
4月初めの第一四半期結果は好決算発表で出店9に対して退店15ですが、フロア移動も多く、過去推移を見ても例年春に出退店または移転を繰り返していますから、次の四半期をウォッチすればよいかと思われます。

ただ、出店ランキングの上位には、8位“illusie300”(差引出店数4)、11位に“Threeppy 300 and Happy”(差引出店数3)がランクインしています。
昨今、ミニテーブルや収納付き椅子など家具要素を持つ生活雑貨、キッチングッズなど高質な300円均一ショップが増加しているようです。

アイウェアは退店側にもランクインがありますが、4位の“メガネの三城”(差引退店数3)や、12位に“Aigan”(差引退店数2)と、いずれも戦前に創業した老舗企業です。

また、書籍において、ランキング4位(差引退店数3)に“TSUTAYA”、“VILLAGE VANGUARD”、“未来屋書店”、ランキング12位(差引退店数2)に“福家書店”、“宮脇書店”があがっています。
昨今の蔦屋書店、まもなく日本初上陸する誠品書店で過ごす居心地の良さによって、本をめぐる時間消費のあり方が変化し、消費者に浸透してきたと言えるかもしれません。

従来の購買スタイルに消費者は満足していないのでは?
変化は、生活雑貨においてもさまざまな業種に広がっているようです。

図表2 生活雑貨_大業種の退店ランキング(差引退店数上位20ブランド)

集計対象ショッピングセンター

  • 2019年3月末日までにSC GATEに登録されている
  • 2019年3月末日時点で営業している
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2017年4月~2019年3月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2019年4月末時点データを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

関連レポート

  • 前四半期のこの業種(生活雑貨)のランキングはこちら