SCトレンド研究所

いよいよ攻めの展開が始まった?! - 【ファッション雑貨大業種四半期SC出退店ランキング】

2018年10月~12月期のファッション雑貨大業種のSC出店ランキングを報告します。

この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店、もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

ファッション雑貨大業種のSC出退店ランキング - 【2018年10月~12月期】

ブランドの統廃合や刷新をスタートさせたブランドが続々と!

2018年10月~12月期のファッション雑貨大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。

この四半期のランキングでは、SC出退店D.I.指標の大きな変化(記事はこちら)を裏付けるように、出店ランキング、退店ランキングとも「攻め」の姿勢が伺える動きが見え隠れしています。

出店ランキングの1位は、差引出店数7店で“ABC-MART”となりました。
このブランドは株式会社エービーシー・マート(東京都渋谷区)が運営するブランドの1つで、SC GATE上では同社の運営する31ブランド(うち、出店中のブランドは28ブランド、本稿執筆時点)の中で最も出店数が多いブランドとなっています。また、同社は17年から “アスレジャー”と呼ばれるスポーツファッション(アスレジャーをテーマにした当研究所の寄稿記事の紹介はこちら)に特化した新業態「ABC-MART SPORTS 」ブランドなども展開しています。
過去のランキングを見ても、ランキングの公開をスタートさせた17年7月~9月期のランキング以降、6四半期の出店ランキングに毎回ランクインしており、安定した出店を続けています。また、同社のWebサイトでは、先の「ABC-MART SPORTS」も含め、「都市部大型旗艦店のリニューアルや商環境の変化に対応するための業態変更を伴う改装を多数実施している」としています。引き続き、積極的な出店が続きそうです。

出店ランキングの2位は差引出店数3店の“bijou SOPHIA”となりました。
このブランドを運営するフェスタリアホールディングス株式会社(東京都目黒区)は、このブランドも含め、SC GATEでは7ブランド(本稿執筆時点)での出店が登録されています。同社の運営するブランドは、今回のランキングで先の出店ランキング以外に、退店ランキング側でも“Douxmiere bijou SOPHIA”がランクインしています。
同社のWebサイトでも、いくつかのショッピングセンターでの“Douxmiere bijou SOPHIA”から“bijou SOPHIA”へのリニューアルが告知されていますし、同社のIR資料にも「ブランドの統廃合を当期(19年8月期)中に終了予定」とされていることから、ブランドの変更を進めていることが伺えます。

一方、差引退店数の上位ブランドをリストアップした結果は図表2のとおりとなりました。

退店ランキングの1位は、アクセサリー小業種の“ASSET”となりました。また、2位も同じアクセサリー小業種の“Parfait”(差引退店数5店)となりました。
この1位・2位の2つのブランドは、いずれも株式会社輝幸(鹿児島県鹿児島市)が運営していましたが、同社は18年11月21日付で鹿児島地方裁判所から破産手続きの開始決定を受けていますので、それに伴う退店となっています。破産に至った背景には長引く消費不況、競争激化に加え、出店に伴う経費増、借入負担増なども理由として挙げられています。

退店ランキングの2位には、先のアクセサリー小業種の“Parfait”以外に、トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社(東京都中央区)が運営する“AMOSTYLE BY Triumph”もランクインしています。
同社は18年12月18日付で「19年に向け、18年よりブランドを刷新して新生『AMOSTYLE BY Triumph』をスタートさせる」ことを発表しています。特に、お客さまとのタッチポイントとなる店舗の大幅な刷新、店頭体験の価値向上を図るさまざまな取り組みに注力するとしていることから、それに伴うランク入りだと考えられます。

また、3位は差引退店数4店の“THE BODY SHOP”となりました。
このブランドは株式会社イオンフォレスト(東京都中央区)が、英国の化粧品専門店「THE BODY SHOP」の日本国内での経営及びフランチャイズ展開を進めているものです。同社は、近年12~15坪の店舗面積での新規出店が多かったのに対し、18年10月に23坪という大型サイズの店舗を出店しており、これまでの出店戦略を見直し始めている可能性が伺えます。

集計対象ショッピングセンター

  • 2018年12月末日までにSC GATEに登録されている
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2017年1月~2018年12月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2018年12月末時点データを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

関連レポート

  • 前四半期のこの業種(ファッション雑貨)のランキングはこちら