The Institute of SC Trend

タピオカの次はチーズティ?ベイクルーズの多業種展開戦略

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空前のブーム迎えたタピオカ

令和元年8月21日午後の原宿・表参道界隈(かいわい)。

猛暑はやや衰えたものの、街を行き来する女性の多くは日傘に帽子、サングラス、そして右手にはタピオカミルクティー。

タピオカのブームが頂点に達しようとしています。
大阪税関が19日に発表した19年1~6月の全国5地域(首都圏、近畿圏、中部圏、東北圏、九州圏)の輸入量は4,471トンで、前年の1,038トンの4.3倍に増えました。

SCへの出店数は8割増

都心の路面ショップからショッピングセンター(SC)出店へ。
そしてコンビニやスーパー、回転すしチェーンにまで広がったタピオカ。
凄まじい勢いですが、一方で「ブームを超えて今やバブル。崩壊も近い」という声も挙がっています。

ブーム沈静化でもSC出店は続く見通し

最初にSCへの最近の出店状況を見てみましょう(図表1)。

図表1 タピオカ店舗のSCへのショップ出店数/屋号数

過去3年の屋号数と出店数を見ると、屋号数は19→25→46へ。出店数は69→84→149へ、いずれも高い伸び率を示しています。
特に18年から19年にかけ、SCへの出店数は前年比80%増と勢いがあります。

図表2 タピオカ出店数上位15位

仮に今後ブームが沈静化したとしても、タピオカは定番メニューの一つとして残るでしょうから、SC・百貨店3,610商業施設に入る余地は十分にあり、今後も出店数が増えることは間違いないでしょう。

しかし、トレンドセッターを生む・生まれる街はもっと先を走っています。
最近、タピオカバブルの崩壊を予兆させ、またポスト・タピオカを探る動きが、この原宿に見られました。

頂点それとも「終わりのはじまり」?

一つは期間限定開催中の東京タピオカランドです。
鳴り物入りで紹介されましたが、ネットやSNS(交流サイト)の評判は超辛口です。あるワイドショーでも、MCからダメだしコメントを出されたとか。
さっそく様子をうかがいに訪れました。

東京タピオカランドは入りがもう一つのようで‥
東京タピオカランドは入りがもう一つのようで‥

会場はJR原宿駅表参道口を出て、渋谷方向へ道路を渡ったすぐのところにあるのですが、

「ん!?」

何やら人気が感じられません。

記者の近くにいる、遠方から来たと思われる親子もけげんそうな表情です。引き返すわけにもいかず、お互い奥に進むと「会場はこちらです」と突然、係員の声が。 声掛けをしないと分からないほど、空いていたのでした。

不人気の理由は入場料(1,200円)と展示内容のアンマッチにあるのですが、タピオカを口にしながら無料で楽しくウィンドーショッピングできる聖地・原宿で、あえて企画したのはミスマッチ。
ブームの絶頂期に犯したミスが「終わりの始まり」にというのは、よくあること。そうならないことを祈って、その場を後にしました。

先進地・原宿では「バブル」の声も

相次ぐチーズティーの参入

では、ポスト・タピオカを探る動きは――。

台湾はじめアジアではやっているチーズティー(お茶の上にフワフワなチーズクリームを乗せた飲み物)。
日本での1号店は18年8月開業のフォーチュナーティーボックスです。今年の6月にはベイクルーズグループのフレーバーワークスが台湾発「machi machi(マチマチ)」1号店をラフォーレ原宿2階にオープンしました。

それではと、ラフォーレに入館して階段を上がると意外なことに、お客はぽつんと数人。

「ここも!?」

不吉な予感は、すぐに外れました。

マチマチにはあっという間に行列ができる
マチマチにはあっという間に行列ができる

何分かおきに4、5人のグループがやってきて、それが2、3組になると13坪のショップはあっという間に埋まります。注文を聞いて、作るのに数分かかりますから、マクドナルドで待っているようなもの。

違いは、店内で立ち飲みする人は、ほとんどなく(店内は小テーブルだけで、椅子はありません)、注文品を受け取るとただちに“飲み歩き”に移ります。

タピオカ慣れしている原宿では、当たり前の光景なのでしょう。

「次はチーズティー」で新たな動き

個性ある味に、今後根付くかは未知数

さて、そのお味なのですが――。

店が提唱する3種類の飲み方
店が提唱する3種類の飲み方

店は、

①チーズクリームだけ
②お茶だけ
③混ぜて

――の3種の飲み方を推奨しています。
初めてなので、素直に従いました。

①パフェで生クリームだけなめることは、よくありますが、チーズクリームの香りは濃厚で、風味は甘さとしょっぱさ(岩塩)が同居
②ウーロン茶とミルクティーの2種類を飲んでみましたが当然、素直にそのお茶の味
③フロートにチーズケーキを入れて、そこからアイスクリームとカステラを取り除いたら、こんな味になるのか――

というような加算減算したお味です。

多種類のチーズティーからウーロン茶(左)とミルクティー(右)を飲んでみた
多種類のチーズティーからウーロン茶(左)とミルクティー(右)を飲んでみた

実は、まだ④があって。

しっかり混ぜたと思っても、下に沈んだチーズクリームが残っていて、最後にそれを吸うしかないんです。チーズクリームの味を好むか、逆に後味がしつこいと感じる人もいるでしょう。タピオカを「嫌い」と言う話はあまり聞きませんが、チーズティーは好き・嫌いが分かれるのではないでしょうか。

少なくとも現段階でポスト・タピオカになれるかどうかは、未知数としか言えません。

ベイクルーズも“メニュー”に採用、多種多様な業態で攻勢かける

「ベイクルーズの仕事の本質は、ただ求められるものを創るだけではなく、ライフスタイル全般で、お客様の期待の先を読んだ商品やサービスを提供し、お客様のGoodを勝ち取り続けることにあります。そのため、飲食という人々の生活を根本から支える分野でも、積極的な展開を行っています」(同社HP)。
2015年以降、商業施設に出店する業種別増減を追うと、ファッション雑貨以上に食品の出店を伸ばしています。意外にも商業施設への飲食出店は減速傾向に。それでもタピオカからチーズティ。ブームを作る攻めの姿勢があります。(図表3)。令和のドリンクをめぐる動き、目が離せません。

図表3 ベイクルーズ店舗 業種別増減推移

飲の考察に疲れたので、今度は食=遅いランチをと、表参道まで7、8分歩きました。

女性客が多いシティーショップ・ヌードルは意外にも”がっちり系”だった
女性客が多いシティーショップ・ヌードルは意外にも”がっちり系”だった

訪れたのは、同じくベイクルーズの「シティーショップ・ヌードル」。

麺と豊富な野菜を味わってもらうというのがコンセプトです。複数の麺と汁、トッピングから好みを選んで1枚の皿にセッティング。ボリュームたっぷりの“がっちり系”でした。坦々麺とマーボー豆腐は、しっかりした辛口。
客は9割方、女性なのですが、見るところみな黙々と完食しています。チーズティーの「甘」とシティーショップ・ヌードルの「辛」。

対照的なようでも「お客様のGoodを勝ち取る」ベイクルーズの熱情を、いただきました。

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