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これぞ水物、水着とゆかたが期間限定店中心に大量出店 - 【ファッション大業種四半期SC出退店ランキング】

2019年4月~6月期のファッション大業種のSC出店ランキングを報告します。

この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店、もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

ファッション大業種のSC出退店ランキング - 【2019年4月~6月期】

陰に隠れるも出店続く“AMERICAN HOLIC”

2019年4月~6月期のファッション大業種のSC出店ランキングは図表1の通りとなりました。

出店ランキングの1位は差引出店数8店で、“San-ai Resort”になりました。
運営するのはワコールグループのAi。三愛水着として55年に誕生し、日本のファッション水着業界をリードしてきたのを15年に継承。三愛水着楽園の名称を00年から使用してきましたが、18年に“San-ai Resort”に改称しました。
19年は店舗数を絞り込み、期間限定店含めて80の予定(18年は102)で、1店舗当たりの売り上げ増に注力しています。
それでも期間限定店出店で一躍1位に躍り出ました。

2位も水着の“PEAK&PINE”、5店です。
水着製造小売りミューラーン(東京、三浦誠巳社長)のヤング向けブランドで、売り場を増やしたこともあり、19年4月の売り上げが前年同月比46%増と伸びました。

3位の”Beach Life”も水着でした。

しかし、3位以下には、ゆかたが目立ちます。
3位の“東京みなみ浴衣フェスティバル”に、12位の“いつ和”、“kimono cafe”、“浴衣屋 hiyori”の合計4社。

“東京みなみ浴衣フェスティバル”はHPを見ると渋谷109、池袋アルタなど全国11カ所で展開中ですが、繊研新聞社の定店SC調査で、好調ショップに挙げられているところもいくつかありました。

前回2位の“AMERICAN HOLIC”は3位ですが、季節要因で水着、ゆかたの陰になっているだけで、相変わらず積極的な出店が続いています。
同じく3位に登場した“アカチャンホンポ”は6月に沖縄へ初出店するなど、20年2月期は10店(うち海外1店)を出店する計画(昨年は6店)です。

図表1 ファッション_大業種の出店ランキング(差引出店数上位20ブランド)

退店ランキング(図表2)に視点を移すと、1位は差引退店数5の“DURER”でした。
サンエス(広島県福山市、佐藤卓己社長)が04年から運営してきた女性向けカジュアルブランドで、7月末までに全店が閉鎖されました。

2位は“SCHLUSSEL”(チョーギン)、“Mac-House”(マックハウス)、“COMPTOIR DES COTONNIERS”(コントワー・デ・コトニエ ジャパン)の各4店でした。

“SCHLUSSEL”は大宮マルイ、金沢フォーラス、キャナルシティ博多などのほかに、ZOZOTOWNからも撤退しました。

マックハウスは19年2月期の業績悪化を受けて社長交代。
これまで進めてきた大型店舗の出店を取りやめるほか、マーチャンダイジングを見直しました。20年2月期は出店を5~10に絞り込む一方、退店は30を計画。「ファミリーカジュアルは『レッドオーシャン』をどう泳ぐか」(北原久巳社長)と厳しい認識を示しています。

“COMPTOIR DES COTONNIERS”はファーストリテイリングが仏から買収した婦人・子ども服のブランドです。19年6月現在、仏中心に306店(日本24店)を運営していますが、店舗数は縮小傾向で、18年9月~19年5月の第3四半期決算でも「赤字幅が拡大」(同社HP)しています。

図表2 ファッション_大業種の退店ランキング(差引退店数上位20ブランド)

集計対象ショッピングセンター

  • 2019年6月末日までにSC GATEに登録されている
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2017年7月~2019年6月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2019年7月末時点データを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

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  • 前四半期のこの業種(ファッション)のランキングはこちら