2019年1月~3月期の食品大業種のSC出店ランキングを報告します。
この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店、もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
なお、当四半期から、ランキング表のデザインを変更しています。
目次
2019年1月~3月期の食品大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。
出店ランキングの1位は差引出店数6店で、株式会社オールハーツ・カンパニー(名古屋市中区)が運営するパティスリー“PINEDE”となりました。
同社は2004年1月に15坪の小さなパンショップ“ANTIQE”からスタートし、15年間で6ブランドを展開しています。
退店1位に“LOVE SWEETS ANTIQUE”があがっていますから、ブランドスイッチと考えられます。
同社の“Pastel”も出店数3でランキング2位でした。
2位以降に目を移すと、2位、5位はいずれもチョコレートを扱うブランドとなりました。
具体的には、2位が“GODIVA”(差引出店数3店)、5位が“Lindt Chocolat Café”、“リンツ ショコラ ブティック”(差引出店数2店)となっています。
当四半期の特徴として、上位20位のうち菓子が10ショップブランドを占めています。
チョコレート、チーズタルト、スイートポテトと特定の食材に特化し、高品質であり、看板商品を明確に打ち出した専門店が増えています。
話題性があり、メディアの情報番組に取り上げられやすく、インスタ映えする特徴あるスイーツはSNSの拡散も狙えます。
例えば、5位に初登場の“OIMO”は、株式会社スペシャリティーズ(東京都世田谷区)がオリジナルブランドとして立ち上げた「生スイートポテト」専門店です。
横浜駅東口地下街ポルタ、NEWoMan、ルミネ新宿のポップアップショップは、現在出店期間延長中です。
同社のHPによると「OIMOの生スイートポテトは焼かずに仕上げることで、なめらかでクリーミーな食感をお楽しみいただけます。ペーストの下には248層のバター風味豊かなパイ生地を敷くことで、サクサクとした食感とのコントラストを生み出しています。材料にもこだわり、徳島県産の鳴門金時、宮古島産の紅いも、宇治抹茶、北海道産のクリーム、バター以外の油脂分を使用していないパイなど厳選したものを使用しています。」とのこと。
カラフルなスイートポテトの組み合わせを顧客が選択できる楽しさが、一般的なスイートポテト店との差別化になっています。
2位にランクインする“BAKE CHEESE TART”を運営する株式会社BAKEは創業2013年、株式会社スペシャリティーズは創業2017年の若い企業です。
こうしたマーケティング、クリエイティブに長けた経営者の、菓子業界を変える勢いに注目です。
退店ランキング(図表2)に視点を移すと、1位は差引退店数6店で、“LOVE SWEETS ANTIQUE”となりました。
2位は差引退店数5店で“焼きたてチーズタルト専門店PABLO”、3位は差引退店数4店で“ニュー・クイック”でした。
退店ランキング4位に“サーティワンアイスクリーム”がランクインとなっています。
出店数4店に対して退店数7店、退店数だけでいうと1位になります。
退店SCをSC GATEで確認しますと、閉館SCが多いことがわかりました。具体的には、1月31日閉館イオン原ショッピングセンター、2月11日閉館イトーヨーカドー福山店、ダイエー横浜西口店、2月17日閉館イトーヨーカドー東大阪店、です。
7位にランクインの“Kalaheo Bakery”、“Kalaheo”を運営する株式会社アクアベックス(神奈川県藤沢市)は、1月25日横浜地裁において破産手続きの開始決定を受けました。
メロンパン・食パン、オーガニック素材を使用したこだわりのパンを販売し、また自社サイトにて購入が可能で全国に配送していました。
地元経済新聞によると「北海道産の小麦粉「キタノカオリ」「春よ恋」に、湘南産の小麦粉「ユメシホウ」をブレンド。さらに辻堂で養蜂し、自家採蜜した中野養蜂園の蜂蜜と鎌倉の製塩家五十嵐勘二さんの手作り天然塩を使用。それらを湯だねという製法で作った『もっちりとした重量感のある食パンで耳まで柔らかい食感に仕上がっている』という。」とのこと。
藤沢市の本店を中心に6店舗を展開、SCは湘南エリアに出店していました。
集計対象ショッピングセンター
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【本稿はSC GATEの2019年4月末時点データを用いて作成しています】
SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください
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