SCトレンド研究所

「時代」を映す体験充足とお祝い消費 - 【スポーツ・ホビー大業種四半期SC出退店ランキング】

スポーツ・ホビー大業種四半期SC出退店ランキング

2019年4月~6月期のスポーツ・ホビー大業種のSC(ショッピングセンター)出店ランキングを報告します。

この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店、もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

スポーツ・ホビー大業種のSC出退店ランキング - 【2019年4月~6月期】

アウトドアライフスタイルを本格的に追及するブランドのSC出店

2019年4月~6月期のスポーツ・ホビー大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。

出店ランキングの1位は差引出店数3店で、“手芸の丸十”となりました。
兵庫県加古川市に本店を構えるチェーン店です。路面を含めると全国に約60店舗展開、SCは兵庫県、大阪府に多く出店しています。

同率2位は差引出店数2店で“AEON BIKE”、“L-Breath”、“K★POP PARADISE”、“バンダイ公式ショップ”、“ガチャマンボウ”、“Dream Capsule”が並びました。

上位20位内に玩具が13ブランドを占め、うち6ブランドがガチャガチャショップです。
出店先を確認すると、大型の郊外型SCだけでなく、スーパーマーケットを核とする小型SCにも広がっていることがわかります。SCにおけるガチャガチャショップ人気については、前四半期の記事で採り上げています。

第2位の“AEON BIKE”、第8位の“ORDER MADE SHOP RIDERZ CAFE”と自転車がランクインしています。
“ORDER MADE SHOP RIDERZ CAFE”は2008年設立、福岡市に本店を構える自転車とパーツ販売で、コンセプトは「新しいRIDE系Life Styleを提案するクリエイトメーカー」です。今期、大分OPAに出店しましたが、路面店のほか、オーダーメイドができるショップや一部パーツを全国のビックカメラで展開しています。

BMX(Bicycle Motocross)という自転車競技のフリースタイルが2020年の東京オリンピックの種目として採用されました。採用されたのは、曲面やスロープを複雑に組み合わせた施設の中で行われる「パーク」という種目です。今後、都市型スポーツとして注目が集まりそうです。

第8位の“iGATE IKEUCHI EXIT”は、北海道内の主要なアウトドアフィールドにショップ展開しています。
今回、琵琶湖のある滋賀県のピエリ守山に出店しました。販売だけでなく、自転車、登山用品、スキー、スノボのレンタルやリユース、リサイクルを行っている点が新しいです。
運営企業は株式会社レモンコーポレーションで、本社は札幌に所在しますが、母体は株式会社丸ヨ池内です。池内グループの経営理念は、「文明型ライフスタイルカルチャーを発信・展開する」であり、その「経営理念を達成するために、文明型地域再生プロデュース企業グループとして、3つの主要事業を統合し、文明型北海道ライフスタイルカルチャーを全国そして世界へ発信・展開することを目指して」いると同社HPに表現しています。

図表1 スポーツ・ホビー_大業種の出店ランキング(差引出店数上位20ブランド)

退店ランキング(図表2)に視点を移すと、1位は前四半期に引き続き、差引退店数8店で、“カメラのキタムラ”となりました。

3位に“カメラのアマノ”が入っており、カメラ、DPE業界の厳しい状況が伺えます。
前回(記事はこちら)も書いたとおり、カメラのキタムラについては、2017年に大量退店し、TSUTAYA系列になりましたが、Tポイントカードの先行きとともに今後もその動向に注目です。

退店ランキング2位に“吉徳の人形”(差引退店数3店)が入りました。
運営する株式会社吉徳(東京都台東区)は1711年(江戸時代 正徳元年)創業、約300年の歴史を有する老舗です。台東区には「吉徳これくしょん」という絵画や文献の資料室があり、人形玩具研究の第一人者であった吉徳十世山田徳兵衛(1896~1983)が、昭和初期から研究資料として収集した品々を母胎としています。

「雛人形や五月人形が不要、両親から貰ってもありがた迷惑」という書き込みがネットで見つかります。置く場所がない現代の住宅事情やマンションの雰囲気に合わない、といった理由だそうです。また、お祝いで贈られるため、リサイクルショップで買う人がいないことから、逆に買取をしてもらえず、神社仏閣にて人形供養してもらう必要がある、と指摘されています。
少子化と現代の住宅事情が、伝統的なお祝い事や庶民文化をも縮小させてしまう、ということかもしれません。

図表2 スポーツ・ホビー_大業種の退店ランキング(差引退店数上位20ブランド)

集計対象ショッピングセンター

  • 2019年6月末日までにSC GATEに登録されている
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2017年7月~2019年6月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2019年7月末時点データを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

関連レポート
  • 前四半期のこの業種(スポーツ・ホビー)のランキングはこちら