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出店・退店とも穏やかだが、寡占化の兆候もくっきり。ヤマダ、グループでシェア拡大 - 【インテリア・寝具・家電大業種四半期SC出退店ランキング】

インテリア・寝具・家電大業種のSC出退店ランキング - 【2019年4月~6月期】

2019年4月~6月期のインテリア・寝具・家電大業種のSC(ショッピングセンター)出店ランキングを報告します。

この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店、もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数と差引退店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

インテリア・寝具・家電大業種のSC出退店ランキング - 【2019年4月~6月期】

パーツ・AV機器専門店などの退店にECの影。アキバの清進商会、68年の歴史に幕

2019年4月~6月期のインテリア・寝具・家電大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。

出店ランキングの1位は、差引出店数4店で“yogibo”と“ベスト電器”、“ニトリ・デコホーム”の3ブランドとなりました。
首位といっても4店ですから、出店は穏やかな傾向が続いていると言えます。

“yogibo”は、前四半期ランキングでは7店出店する一方、9店の退店でマイナス2となり、退店4位にランキングされていましたが、今回は7出店・3退店で、半年ぶりの首位返り咲きとなりました。出入りが激しい同社の詳細については、過去の記事を参照ください。

“ベスト電器”は4位“テックランド”を運営するヤマダ電機のグループ会社で、8位“マツヤデンキ”も同様です。
3社合計では8店となり、ランキングに入る家電11店中の大半を占めました。業界2位“ビックカメラ”以下“EDION”(フランチャイズ契約しているサンエーの店舗ですが)もランキング入りしていますし、家電量販店業界の寡占化は、このランキングからも見て取れます。

出店ランキング常連の“ニトリ・デコホーム”。今回も4出店で2回連続の1位となりました。

さて、前回3位の仏壇・仏具“はせがわ”は今回ランキング圏外へ。
前回5位の仏壇の大野屋(名古屋市)が運営する“GALLERY memoria”は残り、今回“徳仏”が初登場しました。 “徳仏”は大阪本社の仏壇メーカーで、店舗展開はこれからのようです。

圏外に去った “はせがわ”ですが、決して勢いをなくしたわけではありませんでした。
6月にはアスクルが運営するECサイト「ロハコ」に出店。さらに14日には100%出資子会社の田ノ実(東京)が、食と雑貨の“田ノ実”を自由が丘に出店しています。
注目すべきは店舗運営ノウハウを、大手アパレルのワールドから得ていること。SC進出で先陣を切った、 “はせがわ”が今度はアウトソーシングで他業種開拓に乗り出したわけです。

図表1 インテリア・寝具・家電_大業種の出店ランキング(差引出店数上位20ブランド)

差引退店数の上位ブランドをリストアップした結果は図表2のとおりとなりました。

退店ランキング1位は、差引退店数2の“じぶんまくら”、“Sleepfit”、“BOSE”の3ブランドでした。
あとはすべて差引退店数1で、出店同様に退店も落ち着いている傾向が見られます。

“じぶんまくら”は前四半期ランキングで出店7・退店2のプラス5で出店ランキングの首位でした。退店2は前回並みですが、出店が止まったのか、踊り場なのかは今後、注視する必要がありそうです。

“BOSE”は18年7~9月に出店2で出店4位にランキングされて以来の登場。今回は退店2ですが、ボーズは元々スピーカーを中心とした同社オーディオ製品の販売よりも宣伝に注力した出店で、退店というよりショールームの移動という性格が強いでしょう。

出店では大手家電量販店の積極出店が目立ちましたが、退店にはどんな特徴があるでしょうか。

退店したSCをみると“株式会社電化のウエデン”は山梨の荻野リバーシティSC、“SCAY”と“MAXGARAGE”は名古屋の第一アメ横ビル、“清進商会”は東京の秋葉原ラジオ会館、“ミリオン電器”は大阪・河内長野市のノバティながのでした。

総合家電は“電化のウエデン”と“ミリオン電器”の2店で、これが大手量販店の影響かどうかは分かりません。第一アメ横ビルの2店はオーディオやパソコンのパーツ専門店だったようです。
“清進商会”は秋葉原で1951年から営業していた中古オーディオ専門店でした。

いずれの店舗にも影響しただろうと推測できるのは、中古を含めたECサイトの存在です。多種多様な中古品、パーツをリアル店舗で品揃えすることは、大型店でなければ不可能です。
マイナーな商品を揃えるロングテール(長い尻尾)。
かつては、都内なら秋葉原を1日中、歩き回ってお気に入り品を探したものですが、現在ではロングテールを旨とするECサイトにアクセスすれば、一瞬で欲しいものがヒットします。

“清進商会”はアマゾンにも出品していましたが、次第にリアル店舗の存在感が薄れていったのでしょう。

“BOSE”のスピーカーは、実際に試聴させる意味でリアル店舗の存在意義がありますが、機能性が知れ渡っていて、規格だけを選ぶような商品は、ECに駆逐される可能性が大きいです。

図表2 インテリア・寝具・家電_大業種の退店ランキング(差引退店数上位20ブランド)

集計対象ショッピングセンター

  • 2019年6月末日までにSC GATEに登録されている
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2017年7月~2019年6月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2019年7月末時点データを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

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  • 前四半期のこの業種(インテリア・寝具・家電)のランキングはこちら