The Institute of SC Trend

同業種同士のコラボが生んだ急成長 - 【飲食大業種四半期SC出退店ランキング】

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2018年7月~9月期の飲食大業種のSC出店ランキングを報告します。

この出退店ランキングは、この期間中にショッピングセンターに出店、もしくはショッピングセンターから退店したブランドについて、出店数と退店数から差引出店数を算出し、その上位から20位までのブランドを表示したものです。ランキング方法や詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

飲食大業種のSC出退店ランキング - 【2018年7月~9月期】

出店ランキング1位のあのブランドの雲行きが怪しい?!

2018年7月~9月期の飲食大業種のSC出店ランキングは図表1のとおりとなりました。

出店ランキングでは、“いきなり!ステーキ”が、前四半期(18年4月~6月)の6位(差引出店数3店)から、この四半期は差引出店数7店で1位に返り咲いています。ただ、同ブランドを運営する株式会社ペッパーフードサービス(東京都墨田区)の発表によると、既存店売上高が18年1月~10月末実績でマイナスに転じています。その背景には、18年5月に実施した値上げ(1g当たり10円を11円に)により、いわゆる外食チェーンの「飲み物も含め客単価は1人2,000円が限界」という経験則を同ブランドが超えてしまったことがある、と指摘するアナリストも登場しています。また、同社は18年10月に米国ナスダック市場に上場し、今後は海外展開の拡充を積極化するという方針を打ち出しています。こうした、国内・海外での動きを踏まえ、このブランドの出店数を四半期単位の時系列で見ていくと、17年7月~9月:9店、同年10月~12月:13店、18年1月~3月:13店、同年4月~6月:3店、当四半期:7店と、季節変動の可能性も否定はできませんが、一時に比べると勢いが弱くなったのではという印象を受けています。次四半期の推移に注目が必要です。

2位は、“はなまるうどん”と“Starbucks Coffee”の2ブランド(いずれも差引出店数5店)となりました。

今回の出店ランキングの4位(差引出店数3店)には、過去のランキングでは見かけなかった2つのブランドがランクインしました。一つは台湾発のタピオカドリンクを扱う“Gong cha”、もう一つが“Wendy’s First Kitchen”です。

“Gong cha”は、2006年に台湾でスタートしたブランドで、現在は16の国と地域で約1,400店舗を展開しています。わが国には15年9月に東京・原宿で日本1号店をオープンしています。いわゆるカフェの業態では、シアトル系、サードウェーブとコーヒーが中心のブームが続いていましたが、ここにきて、コーヒーに飽きてしまった人やカフェは好きだがコーヒーが苦手な人などが、別の選択肢として支持していると、このブランドを運営する株式会社ゴンチャ ジャパン(東京都渋谷区)は分析しています。また、同ブランドは、同じタピオカドリンクを扱う他ブランドと比べ、カスタマイズの幅広さが特徴で、ドリンクの種類、甘さ、氷の量、トッピングなどの組み合わせで、自分のお気に入りの“My Gong cha”をつくれることが、いわゆるSNSを利用する顧客層に受けているとも指摘されています。

もう一方の“Wendy’s First Kitchen”は、その名のとおり「ウェンディーズ」と「ファーストキッチン」という2つのハンバーガーチェーンがコラボレーションして、15年に登場したブランドです。
ファーストキッチンは、1977年に国内第1号店がオープンし、いわゆるハンバーガー路線を歩んでいましたが、2000年代に入り、「脱ハンバーガー」路線に転換。女性が好むパスタやサラダ、デザートなどを充実させていました。
一方の「ウェンディーズ」は、1980年にダイエーグループの一員として国内1号店を開店。その後、ダイエーの経営危機に伴う子会社の整理によりゼンショーグループに売却されたものの、結局、09年に日本国内の店舗をすべて閉店させることとなりました。その後、11年に2度目の日本参入が始まり、肉感の強いハンバーガーやチリビーンズといった、男性が好むいわゆる「がっつり」系のメニューに特徴がありました。
こうした2つのハンバーガーチェーンがコラボしたことで、誕生した“Wendy’s First Kitchen”は、同業種の2つのチェーンの強みをうまく融合し、このブランドを運営するファーストキッチン株式会社(東京都新宿区)は18年度中に50店を出店し、20年には100店舗を目指すとしています。

退店ランキング(図表2)に視点を移すと、退店ランキングの1位は “Dipper Dan”と“SUBWAY”(いずれも差引退店数5店)の2ブランドとなりました。

“SUBWAY”はこのランキングが始まって以来、5四半期連続して退店ランキングの1位で、40店近くが退店したことになります。同ブランドが顧客の支持を得にくくなった背景については、こちらの記事をご覧ください。

一方の“Dipper Dan”は、1969年にダイエーが設立した株式会社オレンジフードコート(東京都江東区、設立当時の社名は株式会社ダイエーファーストフーズサービス、その後、97年に商号変更)が国内1号店を出店させ、現在はイオングループの1社としてこのブランドを運営しています。ただ、そうした経緯もあってかダイエーやイオンでの出店が多いことから、今回の退店も、17年10月~12月のファッション業種やファッション雑貨業種のランキング記事(記事はこちら)で触れていたイオン系総合スーパー(ゼネラルマーチャンダイズストア [英語:General merchandise store、GMS])型の施設での動きなどの余波の可能性があります。

集計対象ショッピングセンター

  • 2018年9月末日までにSC GATEに登録されている
  • SC面積が1,500㎡以上である
  • 2016年10月~2018年9月末日の最大テナント数が10テナント未満ではない
  • SCタイプが「駅ナカ」「駅ビル」「地下街」「駅周辺・市街地」「郊外」「超大型施設」「アウトレット」「空港」に分類されている

【本稿はSC GATEの2018年10月末時点データを用いて作成しています】

SC GATEとSC GATEのデータについてはこちらをご覧ください

関連レポート

  • 前四半期のこの業種(飲食)のランキングはこちら
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